左下7 ダイレクトボンディング治療
つめ物が外れた歯をダイレクトボンディングで修復した症例
つめ物が外れた奥歯をダイレクトボンディングで修復した症例をご紹介いたします。
初診時の口腔内
左下奥歯の詰め物が外れたため来院された患者さまです。インレーと呼ばれる修復物が脱離し、二次むし歯が確認できました。
治療計画について
保険診療によるコンポジットレジン充填
自費治療によるコンポジットレジン充填（審美充填、ダイレクトボンディング）
保険診療によるインレー修復
自費診療によるインレー修復（セラミックインレー、ゴールドインレー）
治療方針をご相談しました。
患者さまのご希望は下記の通りです。
- なるべく長持ちする
- あまり歯を削らない
患者さまは隣の歯に装着されているようなゴールドインレーがもともと治療部位に装着されており、審美性についてのご希望は特にありませんでした。
本症例のむし歯の大きさは、歯と隣り合っている面や咬頭（歯のコブの部分のこと）を含んでいない１級窩洞と呼ばれる状態です。
- 接着操作をしっかりと行なったコンポジットレジン充填は、インレー修復との臨床成績に差がないこと・・・※1
- MIの理念に基づき治療が可能であること・・・※2
上記を説明し、患者さまは②自費治療によるコンポジットレジン充填（審美充填、ダイレクトボンディング）の治療方針をご選択されました。
※1：う蝕治療ガイドライン（特定非営利活動法人 日本歯科保存学会）
※2：歯の修復治療にはMIという概念があり、最近では歯科関係者だけではなく、世間一般的にも浸透しつつあります。MIとはMinimal Interventionの略で、『切削介入は最小限にする』という考え方です。 今の時代、歯の修復治療において、できるだけ歯を削る量を少なくするためにどのような治療を行うべきかを念頭に置いて治療を行うことは基本です。
ラバーダム防湿の実施
表面麻酔を塗布後、浸潤麻酔を行い、ラバーダム防湿を行います。
う蝕検知液を用いてむし歯を除去します。エアフローによるパウダークリーニングにより接着阻害因子を徹底的に除去します。
エッチングの実施
レジンの接着力を向上させるために、エナメル質部分に酸処理剤を塗布しセレクティブエッチングを行います。
※セレクティブエッチング：コンポジットレジンを接着させる歯面のエナメル質に酸処理を先に行い、コンポジットレジンの接着力を向上させる処理法のこと。
（当院では、保険診療のコンポジットレジン充填治療において時間、費用の関係からセレクティブエッチングは行いません。）
ダイレクトボンディングの実施
ボンディング処理を行います。流動性の良いレジンにてリライニングを行います。
ボンディング処理後、コンポジットレジンを充填します。エアーバリア材（酸素遮断材）を塗布し、光を照射して完全硬化させます。その後、研磨を行い終了です。
治療前後の比較
治療前
治療後
術前、術後です。患者さまには大変満足いただきました。
| 年齢/性別 | 50代 女性 |
|---|---|
| 治療期間 | 1ヵ月（歯周病治療後に治療を行ったため） |
| 治療回数 | 2回（カウセリング1回、治療1回） |
| 治療費 | ダイレクトボンディング 33,000円（税込） （費用は16,500円〜33,000円の間で難易度と相談の上、決定いたします。） |
| リスクなど | ・ダイレクトボンディングは経年劣化により脱離、変色する可能性があります。 |
