変色歯の感染根管治療・ホワイトニング症例
変色歯に実施した感染根管治療・ホワイトニングの症例
▼感染根管治療とホワイトニングによって、慢性化膿性根尖性歯周炎と歯の変色を治療した症例をご紹介致します。
※感染根管治療:既に神経を取り除いた歯の根に感染が起こり、歯根の先端部分で炎症が起こっている場合に行う根管治療。
初診時の口腔内
こちらの患者さまは、左上2番目の歯に食べ物が当たった時などに違和感があるとの主訴で来院されました。お口の中を拝見すると、口蓋側にレジン充填が認められ、歯冠の変色がありました。打診痛(やや+)。根尖部圧痛(やや+)ともに確認ができたため、レントゲンでさらに診査を行うこととしました。
レントゲン診査では、歯冠部に古いレジン充填の透過像および不透過像、虫歯の疑いが認められました。
また、根管充填の不良、根尖透過像が認められたため、慢性化膿性根尖性歯周炎と診断し、感染根管治療を開始することとしました。
根管治療の実施
根管充填後のレントゲン写真です。問題なく根管充 填ができていることが確認できました。
患者さまと次回の治療予定について確認をしたところ、 実は歯の変色も気になっているとのご相談をいただきました。
変色歯への対応として、私が提示できる治療プランは下記の4つです。
支台築造+被せ物
支台築造+レジン充填+ラミネートベニア
ホワイトニング+レジン充填
レジン充填のみ
それぞれメリット、デメリットについて説明させていただき、「歯の色を周りの歯と合わせたい」・「歯をなるべく削りたくない」・「歯の形も変えたくない」とのご希望から、③番のホワイトニングを行った後にレジン充填にて治療していくこととしました。
ホワイトニングの実施
こちらは、ホワイトニング前の色調確認のための写真です。シェードガイドと呼ばれる色調見本と比較すると、術前はA4相当であることが分かります。
3サイクル終了後の状態です。シェードガイドにて確認し、A4相当→A2~A3相当まで 色調を改善できました。ホワイトニング直後は、薬剤の影響や周囲の歯の乾燥状態により、正確な色調の確認ができません。
また薬剤の影響からレジン充填の接着効果も得られません。患者さまには後日来院していただき、さらに色調の改善を希望であれば再度ホワイトニングを行う、色調に問題がなければレジン充填を行うことをご説明しました。
後日の来院時の写真です。 私は歯頚部をもう少し色調改善してもいいかなと思いましたが、患者さまは大変満足しているとのことでしたので、追加でホワイトニングは行わずにレジン充填を行うこととなりました。
レジン充填の実施/治療完了
通法に従い、左上2番の近心、遠心、口蓋側の古いレジン充填の除去を行った後、新たにレジン充填を行います。工夫としては、口蓋側のレジン充填は少し明るめの色味で充填をしました。
今後色調の後戻りがあった場合は、ホワイトニングにて対応することが考えられます。その際レジンを削って除去する必要がありますが、識別して削って除去することが楽になります。また、内層に明 るめの色味を充填することで、その歯自体の色調を明るくする効果も期待できます。
年齢/性別 | 40代 女性 |
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治療期間 | 2ヵ月 |
治療回数 | 5回 |
治療費 | 感染根管治療 保険診療に準ずる ホワイトニング(インターナルブリーチ併用) 1歯 初回16,500円 2回目以降5,000円(税込) |
リスクなど | ・ホワイトニングの薬剤の影響により歯の強度が落ちる可能性があります。 ・ホワイトニングの効果が思うように出ない可能性がありま す。 ・色の後戻りが生じる可能性があります。 |